ナナツモリ・タムラのblog。      「写真と遊ぼう」をテーマに      写真のはなしいろいろ。         僕の写真もすこし…。


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ひとりたび

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8月下旬に、長い休みをいただいて九州までひとり旅をしてきました。すっごい恥ずかしい表現を使えば「自分と向き合う旅」とでもいいましょうか。もう若くないのに〜とか言わないでくださいね。傷つきますから(笑)

ほとんど何も決めずに行ってきました。行き先も九州のどこか!!くらいのアバウトな感じで。(五島列島に行くことは決まっていた)

ですので、現地に入ってから今日泊まる寝床や目的地を決めて動いておりました。結局、9日間で
長崎→五島列島→熊本→鹿児島→宮崎

ぐるぐると寄り道や回り道をしていたら走行距離3,000キロほどになってました。

この旅の間は、細胞の隅々まで活性化しているような実感があり、感動も喜びも痛さも、密度の濃い凝縮された状態で体に入ってきました。

もちろん旅の間、写真は撮っているのですが、初日にしてメイン機にしたかったハッセルは壊れるし、天気もどんよりとしていて写欲は落ちる一方だったのですが、いい写真を撮ろうという気負いは途中でやめて、旅を楽しむことに切り替えたら久しぶりに純粋な気持ちで写真を撮ることができてかえってよかったです。

今回の旅、「祈り」そして「アイデンティティ」というテーマを自分の中で漠然と決めていました。

「祈る」冠婚葬祭などの形式としてはあったかもしれませんが日常生活の中ですることはもちろん、考えることもありませんでした。
でも3月11日の大震災、その後の原発事故があって、気がつけば、自然と祈るようになっていました。すべての日本人がそうしたように。

「どうか無事でありますように」「少しでも被害が大きくなりませんように」

ひとりたび_e0175258_1643188.jpg

知らない間に、連動するかのように、自分の心も大きく動いていました。
「祈る」それは特定の宗教儀式ではなく、すべての人間の根源にある優しさや愛情行動のひとつなのではないでしょうか。

ぼくはそのひとつひとつを確かめるように、たどるように、考えてはとまり、気付かされてはまた進むそんな9日間でした。

ぼくは何にすがり、どこに向かってゆくのだろう。「祈り」と「アイデンティティ」の旅のはじまり。

この旅で確信したのは、それは自分のルーツがやはり日本人であるのだというとってもシンプルで当たり前なこと。

わたしたちが多くの犠牲の上に成り立っているということ。そしてこの平和が最初からそこにあったものではないということ。

理屈ではなく、深い意味もなく「ぼくは日本人だ」とただただ思ったのです。


今回の旅で、どうしても訪れたかったのが五島列島でした。長崎からフェリーで4時間の場所にある五島列島の中心、福江島。五島列島の島々には、いくつもの古い教会がのこっています。これらの教会群は、キリスト教の禁教令下、海を渡って移り住み、密かに信仰を守り続けたキリシタンの人々やその子孫が命がけで、守り受け継いできたものです。

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巡礼するように、ぼくは15カ所ほどの教会を訪れました。今回の旅では、他にも長崎では原爆資料館、鹿児島では知覧特攻平和会館。

ぼくの直接的な記憶はここにはないけれど、人々の祈りが集まるこの場所で、多くの気持ちを受け取りました。


さて、すこし話は飛んで、今日9月5日はイギリスのロックバンドQueenのフレディーマーキュリーの生誕65周年なんです。グーグルの検索ページを開くと、Googleのロゴもフレディー仕様です。
クリックするとQueenの「Don't Stop Me Now」が流れる仕掛けになっていました。もし彼が生きていたら65歳、どんな歌を歌ったのだろう。

もうフレディはこの世にいないけど、彼の音楽は全世界で今でも愛されていて、きっとこれからもずっと残っていく。命日じゃなくって産まれた日。いまを生きる人たちが、故人の産まれた日を祝うって、なんて素晴らしいんだろう。

だからぼくは目で見て感じたことを、出会った人を、忘れないでいようと思いました。

奈留島で、仲良くなったタクシーのおばちゃん。ずっこけな楽しい解説をしてくれて天文台のおじさん。
忘れない。
忘れたくない。

上から2番目の写真はこの旅で、最も心震えた場所で撮りました。五島列島の福江島、夕日が見える場所を探してただただ西を目指していました。大きな道路から外れて、細い海沿いの道をずっと走ったその先にありました。導かれるように。

世界のおわりは自分の最後は、こんな風景を見ていたいとそう思いました。
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ぼくはこの旅で多くのマリア様を撮って、その美しさに魅せられていたのですが大きな海と夕日が沈むこの場所にも、マリア様はそっと見守るように祈っていました。

あまりにも美しくて、愛を感じてぼくはここで、子供のように泣きじゃくって写真を撮りました。


本屋さんで偶然見つけた美術手帖の表紙が五島列島の教会で直感で、「ここに行こう!!」と思いました。それはこの場所に繋がっていました。

今年亡くなったおばあちゃんのふるさとである宮崎へも行けました。ぼくがこれから進んでいく道も、多くの祈り、愛に包まれ守られて生きてゆくんだと実感した。

旅をすることは発見の連続でした。自分のことがすこしだけわかったような気がしました。
そして九州は、とても素晴らしかった。大好きな場所がまたひとつ増えました。

最後に旅にまつわる名言を(笑)

発見の旅とは、新しい景色を探すことではない。新しい目で見ることなのだ。
マルセル・プルースト(フランス、作家)

機会があったらまた旅をしたい。みなさんも、よい旅を♪
by nana-photoroom | 2011-09-05 20:13